日商簿記2級を60時間の勉強で受かった話

日商簿記2級を60時間の勉強で受かった話

簿記3級に受かった話はこちらを見てください。

就活に有利だということもあり、簿記2級を取りました。

前提

  • 出身は情報系
  • 会計知識は簿記3級レベル
  • お金はできれば節約したいので、通信講座は取りたくない
  • 持っている電卓は普段使いできるレベルとは言えない

とまあ、こんな感じです。

勉強時間

簿記3級のときと同じく、これまた誰もが知る通信講座ユーキャンによると、「合格に必要な勉強時間は状況により大きく差があります。簿記経験者なら250〜350時間、初学者なら350〜500時間ほどが目安。」とのこと。

なるほど、350時間かかるのか。

本来は3級で100時間かかるということからすると、だいたい3.5から5倍ほどの時間がかかるということらしい。

ということは前回3級で40時間をかけた私からしたらだいたい150から200時間かかるという計算になる。

ただ、ちょうどその頃、私は大学院で研究を進めなければならない事情があったため、30日間はほとんど勉強できない、ということを考えると、60日くらいかかるという計算になりました。

まあ、これまた3級のときと同じく、以前にフランス語検定HSK(中国語の検定)を受験したときも根気と時間を生贄にスピード感を持って合格できたので、なんとかなるだろ、と思っていました。

かかった総額

  • 書籍代:1540円を3冊(商業簿記、工業簿記、問題集。高い。問題集は後から買い足した)
  • 受験料:5270円
  • 古紙ウラ紙:0円
  • 電卓:0円(以前に買っていたダイソーの安くて打ちにくいやつ)
  • 青ペンインク:半分くらい(別に何色でも良かったが、記憶に定着するというプラシーボ効果を狙った)

計9890円+ちょっと

ちょっと高いなあと思ってしまった。

1日目: 商業簿記と工業簿記というものがあることを知る

3級に合格してすぐ勉強をしようとは考えたのですが、書店に行ってみてまずびっくり。

商業簿記? 工業簿記?

よくわからなかったのでとりあえず書籍は後で買うことにして、簿記系YouTuberの動画を見ることにします。

なるほど、商業簿記と工業簿記の両方をする必要があるというのは事実らしい。

2日目から4日目: 2種類のテキストを買って対策を始める

書店に行ってみて思ったのは「滝澤ななみ編集者多すぎでは?」ということでした。

どの出版社の簿記2級のテキストを取ってみてもだいたい滝沢ななみ編集者が登場するので、内容はほとんど変わらない気がしました。

とはいえ、持ち運びやすさや価格の安さの観点から、以下のテキストを選びました。

ついに買ってしまったので学習を始めることにしました。

まずは商業簿記の「連結決算、200%定率法、圧縮記帳、税効果会計、製造者会計」以外の部分から勉強しました。

これらは工業簿記をした後に勉強することにしました。

とりあえずこの3日間で教科書を12時間かけて1周しました。

5日目から7日目: ゼロからの工業簿記

初の工業簿記!

ということもあって少しワクワクしていました。

もちろん、最初は配賦やら直接材料費と加工費に分けての計算など、簡単には理解できない部分もありました。

ただ、最後のほうは損益分岐点の計算などは教科書よりも私の方が画期的で速い計算方法を知っていたので、すっ飛ばしました。

私自身、もともとが理系なので、教科書に反して、グラフを書いて比を計算するだけ問題だったり、変数を定義するだけ問題だったりしてました。

予想以上に早く終わったため、商業簿記で勉強をしていなかった部分をこの期間に一気に進めました。

この3日間で教科書を16時間かけて1周しました。

8日目から11日目: テキストの復習

ここからは商業簿記、工業簿記の双方のテキストの復習をすることをしました。

3日間でわからない部分に重点を置きながらそれぞれ2周しました。

ちなみに私が不安に感じていた点は、

  • 株主資本等変動計算書
  • 連結決算
  • 工業簿記の差異まわり

でした。

この3日間で8時間かけました。

12日目から41日目: 対策できない

この間は研究が忙しかったため、ほとんど簿記対策はできませんでした。

これが後々、かなり足を引っ張った。

42日目: 忘れすぎ

そして再び教科書を開いてみると……。

なんと綺麗さっぱり忘れてしまったわけですね笑(笑っている場合ではない)

とはいえ、なんとなく覚えているところもあった一方で、やはりほとんど忘れかけていた工業簿記の配賦とかいう謎制度を覚え直したりして、1日で6時間かけて商業簿記と工業簿記のテキストを1周しました。

43日目から49日目: 問題集を買う

ここでようやく「あれ、テキストだけじゃ対策不能では?」ということに気づく(遅すぎ)

せっかく安く資格を取得しようとしたのに、問題集を買わないといけないのか、という少し悲しい気分になりました。

とはいえ問題集で対策せずに受からなければ本末転倒なので、滝沢ななみ編集者の懐をまた温かくするのは少々癪でしたが(というのは冗談で)買うことにしました。

「この問題集を読めばあと3日で受かるわ」と高を括っていたわけで、ウェブで申し込みをしようとしたのですが、なんと1週間先まで予約ができないということを知る。

仕方がないのでその場で1週間先の予約を取得して、問題集を使って対策をする訳です。

ただ、ここで心配になる事案が発生します。

「90分とか全然無理!」

そう、簿記2級では90分という制限時間のうちに大問5つを解かなければならないのです。

しかも面倒な表を書かなければいけない連結とか、縦に長いP/Lとか、時間を貪る虫はたくさんいます。

最初のうちは90分を余裕で超えて110分はかかりました。

18時間かけて問題集を解きまくりましたが、どうしても80分はかかってしまう。

こりゃ心配だ。

50日目

というわけで、不安になりながらも、当日受験をすることになります。

大問1番。相変わらず打ちにくい電卓(安いので仕方ない)を両手で打ちながら、仕訳を書き終えた後に両手を使って計算をしてゆきます。

とりあえずここは小問1つを1分で解き終えて、連結とP/Lに移るとあら不思議。

なんかよくわからないが、信じられないほどすらすら解ける。

これは試験を受けたときに気づいたことですが、試験対策をしていたときは紙にB/S、P/Lを書くのに必要な情報をすべて書き写していましたが、試験ではそんなことはせずとも、パソコンにメモできてしまうのです。

そんなこともあり、さくさくと解いていたら全問合わせて45分で終わりました。

書き写しにどれだけの時間を割いていたんだよ、私。

とはいえ心配だったので見直しをしてから試験終了を押し、結果を印刷します。

なんと商業の仕訳、P/L、工業の仕訳で満点。

連結と大問5で1小問分落としてしまったのはちと悲しいが、それでもかなり良い結果を取れました!

メモ

ここからは私が使ってきた受かるためのコツを書いてゆきたいと思います。

勘定科目の簡略化

簿記3級のときと同じく、やはり勘定科目を簡略化することで、時間を大幅に削減できます。

  • 棚損、商損、貸引:棚卸減耗損、商品評価損、貸倒引当金。場合によっては営業外は分けて考えるため、先頭に「営外」とつけることがある
  • 有利、そ有、売有:有価証券利息、その他有価証券、売買目的有価証券
  • ソ、の:ソフトウェア、のれん。略しまくれる部分は略しまくる
  • S株:子会社(Subsidiary)株式。ほとんどの場合で受験者を紛らわせないようにしてくれているため、S社は必ずと言って良いほど子会社だし、P社も必ずと言って良いほど親会社(Parent)

もはや簡体字よりも略してるものもある。

借方・貸方のどちらに入るかを暗記する

連結をしない限りは、基本的に決算のときは「貸倒引当金繰入」は借方に入るとかそういうのを覚えておくと楽です。

で、連結のときはその逆だと覚えておきました。

P/Lの縦に長いやつは問題を解きながら覚える

P/Lに関しては、最初から項目を覚えるのは難しいです。

解きながら覚えてゆくとかなりスムーズに解けるようになります。

連結は開始仕訳の方法を暗記する

「資本金、資本準備金、利益準備金、のれん、子会社株式、非支配株主持分、剰余金の配当」など、配当があろうとなかろうと、利益が確定していようとなかろうと、問題が連結だと分かった瞬間に問題文をよく読む前に紙に書き込んでしまいます。

もちろん、開始年度も大事ですが、それを確認する前に書いてしまったほうが、あとは数字を埋めるだけになるので楽です。

工業簿記の損益分岐点はグラフで書いて比で求める

理系なので、とにかく比を求めれば一瞬で解けます。

テキストに書いてあるなんだか難しい説明も、グラフにすれば一瞬です。

連立方程式さえ入らないときがあります。

製造間接費配賦差異のグラフも暗記する

解いているうちに暗記できるので、問題に触れながら暗記するのがおすすめです。

さいごに

簿記3級を取っていたためか、簿記2級はかなりスムーズに受かることができました。

最初は「非支配株主に帰属する当期純利益!? 覚えられるかよ!」みたいに諦めかけていたのも事実ですが、略したりコツを掴んだりすればかなりスムーズに解けるようになります。

みなさんの健闘を祈ります!